東京高等裁判所 昭和30年(う)2507号 判決
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〔判旨〕輸入貿易管理令は外国為替及び外国貿易管理法の規定に基いて同法の規定を実施するために制定されたものであるから同令第八条第一項第一号の輸入(無為替輸入)承認を受けた場合でも右輸入貨物の代金支払は右管理法の適用を受けることは当然で輸入の許可を受けたからといつて同法の禁止する方法による代金支払が許されるわけでないばかりか無為替輸入という建前からすれば、外国為替資金特別会計、日本銀行外国為替銀行等に売却された対外支払手段によつて支払をすることができず又外国為替銀行等に売却されていなくても法律上売却する義務を課された対外支払手段による代金支払の如きも違法であるといわなければならない。もしそうでないとすれば、それはもはや無為替輸入ではなく、輸入貿易令第八条の承認を受けた趣旨に反するのはもとより、対外支払手段を外国為替銀行等に集中させようとする外国為替及び外国貿易管理法の目的をじゆうりんするに至るからである。それ故無為替輸入の承認を受けた者と雖も、所論の如く当然に在外資産を以て輸入貨物代金支払を為す自由を有するものではない。ただ外国人であつて本邦在住以前の取引によつて取得した対外支払手段を有する事例とかその他外国為替及び外国貿易管理法第二十二条の適用を受けないものについては外国為替銀行等に売却する義務を課されてはおらず、従つてこの場合には無為替輸入の承認を受ければ、小切手等を利用し在外資産の中で輸入貨物の代金支払に充て得ることがあるに過ぎない。これを本件についてみると、被告人は本邦に在住する外国人であるが、アメリカ合衆国サンフランシスコ市所在のバンク・オブ・アメリカ・マーケットニューモントゴメリー・オフィスに当座預金口座を設けていたところ、右当座預金そのものがいわゆるやみドルを買つて同銀行に送金したもので外国為替及び外国貿易管理法の適用を受けない外貨債権とはいえないものであるが、それはともかくとして被告人が右銀行を支払人とする小切手を振り出すなら、その小切手は正しく同法第二十一条及び第二十二条により外国為替銀行等に売却する義務を課せられた対外支払手段といわなければならず、被告人がこれを売却せずにサンフランシスコ市のバンク・オブ・アメリカ・マーケットニューモントゴメリー・オフィス宛郵送し所定期間内に所定外国為替銀行に売却しなかつたからには、外国製自動車の無為替輸入の承認を受けていても前記管理法第二十一条第七十条、同管理令第三条、外国為替集中規則第三条によつて処罰されるを免れない。所論は無為替輸入の承認があれば、支払人に小切手或は之に代る支払指図が可能とし、その前提の下に小切手を外国為替銀行に売却しなてくも犯罪とはならないことを主張するが無為替輸入の本質について正当な認識を有しないものとする外はなく採用の限りでない。